夏前に痩せにくくなる理由と効果的な対策

「夏に向けて引き締めたいのに、なかなか体が変わらない」
「運動しているのに、思ったように結果が出ない」

そんな経験はありませんか?

実は、夏直前のこの時期は体が「痩せにくくなる準備」を始める季節です。
「汗をかくから夏は痩せる」と思われがちですが、生理学的な事実はその逆。
頑張っているのに結果が出ない方は、季節特有の「代謝の落とし穴」にはまっている可能性があります。

今回は、夏のダイエットを成功させるために知っておきたいメカニズムと、今すぐ実践できる栄養戦略をお伝えします。

⬛︎ なぜ夏は痩せにくいのか

① 基礎代謝が低下する

人間の体には、体温を一定に保つ機能(ホメオスタシス)が備わっています。
冬は寒さに対抗するために体が自ら熱を産生するため、基礎代謝が上がります。
一方、夏は外気温が高いため体が熱を作る必要がなく、基礎代謝は低下します。

② 冷房環境が「脂肪燃焼スイッチ」を弱める

私たちの首の後ろや鎖骨周辺には、褐色脂肪細胞(脂肪を燃やす特殊な細胞)が存在し、この細胞は持続的な寒冷刺激によって活性化し、脂肪をエネルギーに変えて熱を生み出します。
しかし、冷房と猛暑を行き来する現代の夏では持続的な刺激にならず、脂肪燃焼スイッチが入りにくくなります。(※1, 2)

さらに、梅雨から夏にかけての気圧変動や睡眠の質低下は、コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を増やします。このホルモンが慢性的に高い状態が続くと、体は筋肉を分解してエネルギーを作ろうとします。筋肉が減れば代謝はさらに落ち、「夏なのに痩せない」という悪循環に陥ります。

⬛︎ 夏に脂肪を落とす 4つの栄養戦略

低下する代謝を食い止め、脂肪を効率よく落とすには、Dr.NUTRITIONが提唱する「7大栄養素の最適化」が鍵を握ります。「食べない」を選ぶのではなく、以下の4つの戦略で「代謝が回る環境」を整えましょう。

1. たんぱく質だけは削らない

ダイエット中に最も避けるべきは「筋肉を落とすこと」です。筋肉は基礎代謝の約22%を支えており、筋肉が落ちると食べる量を減らしても痩せにくい体になります。夏こそ、体重1kgあたり約1.6gを目安にたんぱく質を確保しましょう。(※3)

またたんぱく質は、食べるだけでエネルギーを消費する性質(食事誘発性熱産生)が糖質や脂質と比べて高く、同じカロリーでも自然と消費が増える栄養素です。

2. 糖質は「液体」に注意し、タイミングを意識する

糖質を摂ると、インスリン(血糖を細胞に取り込むホルモン)が分泌されます。このホルモンには脂肪の合成を促し、分解を抑制する働きもあるため、過剰に分泌される状態が続くと脂肪が燃えにくくなります。(※4)

特に夏に注意したいのが、スポーツドリンク・ジュース・アイスといった液体・半液体の糖質です。固形物より吸収が速く、血糖値を急激に上昇させます。糖質を摂るなら玄米・もち麦などを選び、トレーニング前後のタイミングに集中させるのが効果的です。

3. 腸内環境を整えることが、栄養戦略の土台になる

どれだけ食事を整えても、腸内環境が乱れていると栄養の吸収効率は下がります。冷房による体の冷えや冷たい飲食物の多い夏は、腸内環境が悪化しやすい季節です。

善玉菌と食物繊維をセットで摂る「シンバイオティクス」のアプローチで、栄養を最大限吸収できる腸の状態を維持しましょう。また「グルタミン」というアミノ酸は、ダイエット中のストレスや夏の暑さで傷んだ腸粘膜を修復し、バリア機能を守る働きがあります。

4. 発汗で失われるビタミン・ミネラルを補給する

脂肪燃焼とは、体脂肪が細胞内のエネルギー産生工場「ミトコンドリア」で燃やされるプロセスです。この工場を動かすのに欠かせないのが、ビタミンB群・亜鉛・鉄・マグネシウムです。

これらは夏の発汗によって失われやすく、不足すると「運動しても脂肪が燃えない体」になります。(※5, 6)食事だけでの補給が難しい場合は、サプリメントの活用も有効な選択肢です。

⬛︎ まとめ

✔ 夏は基礎代謝が落ち、冷房環境が脂肪燃焼をさらに妨げる
✔ たんぱく質は体重×1.6gを目安に、夏でも確保する 
✔ 液体の糖質に注意し、摂るタイミングを意識する 
✔ 腸内環境を整えることが、栄養吸収の土台になる 
✔ 発汗で失われるビタミン・ミネラルを意識的に補給する

「食べない」を選ぶより、「代謝が回る体の環境をつくる」。
その習慣を梅雨のうちから始めることが、夏に結果を出すための最短ルートです。

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⬛︎ 参考引用文献

※1 Cannon B, Nedergaard J. Brown adipose tissue: function and physiological significance. Physiol Rev. 2004;84(1):277-359. https://doi.org/10.1152/physrev.00015.2003

※2 Yoneshiro T, et al. Recruited brown adipose tissue as an antiobesity agent in humans. J Clin Invest. 2013;123(8):3404-3408. https://doi.org/10.1172/JCI67803

※3 Morton RW, et al. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. Br J Sports Med. 2018;52(6):376-384. https://doi.org/10.1136/bjsports-2017-097608

※4 Augustin LS, et al. Glycemic index, glycemic load and glycemic response: An International Scientific Consensus Summit from the International Carbohydrate Quality Consortium (ICQC). Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2015;25(9):795-815. https://doi.org/10.1016/j.numecd.2015.05.005

※5 Nielsen FH, Lukaski HC. Update on the relationship between magnesium and exercise. Magnes Res. 2006;19(3):180-189. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17172008/

※6 DellaValle DM, Haas JD. Impact of iron depletion without anemia on performance in trained endurance athletes at the beginning of a training season. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2011;21(6):501-506. https://doi.org/10.1123/ijsnem.21.6.501