二日酔いを科学的に予防する方法

アルコール代謝に必要な栄養素|二日酔いを科学的に予防する方法


今回は、お酒を飲んだ翌日の二日酔い症状を科学的根拠に基づいて、アルコール代謝をスムーズにし、二日酔いを軽減する主要栄養素をまとめました。

お仕事柄会食が多い方や、飲み会シーズンなどで飲酒機会が多い方はぜひ以下の栄養を意識してみてください!
 

1|亜鉛・ナイアシン


亜鉛とナイアシンは、アルコール分解酵素(アルコール脱水素酵素・アルデヒド脱水素酵素)の材料となる栄養素で アルコール代謝における二代巨頭 と言っても過言ではありません。

アルコールはまずアルコール脱水素酵素でアセトアルデヒドに変換され、その後にアルデヒド脱水素酵素で無害な酢酸へと代謝されます。
このプロセスをスムーズに進めるためには、亜鉛とナイアシンが十分に存在することが必須 です。

実際に研究でも、亜鉛やナイアシンの摂取量が多いほど二日酔いの重症度が軽減することが報告されています(※1)。
 

2|グルタチオン

グルタチオンは、肝臓の解毒システムを支える中心的な物質で、アルコールを飲んだ際の不調を防ぐためには、グルタチオンが十分に働ける状態を保つことが極めて重要 になります。

体内のグルタチオンレベルが低下すると、アセトアルデヒドの分解が追いつかなくなり、頭痛・吐き気・倦怠感などの二日酔い症状が重くなる原因になります。
また、活性酸素が増えることで肝細胞へのダメージが蓄積し、炎症が高まり、飲酒後のだるさ・むくみ・疲労感にもつながります。

このように、グルタチオンは飲酒時の体調を左右する最重要物質であり、その不足は二日酔いの悪化や肝機能の低下に直結します。
 

3|ビタミンB2

ビタミンB2は、グルタチオンの再生に不可欠なビタミンです。

グルタチオンは解毒の過程で一度「酸化型」に変わりますが、これを再び働ける状態の「還元型」へ戻す際に必要となるのが、ビタミンB2からつくられる FAD という補酵素です。

ビタミンB2が不足すると、この再生サイクルがうまく回らなくなり、グルタチオンの総量が低下してしまいます。
その結果、解毒力や抗酸化力が落ち、二日酔いが重くなる可能性が高まるなど、身体への影響は大きくなります。

そのため、グルタチオンを十分に働かせるためには、合成を高める(シリマリン)」と「再生を支える(ビタミンB2)」の両方がそろっていることが重要 です。
 

4|シリマリン

シリマリンは、グルタチオンの活性を高め、肝臓を保護する成分として知られています。
シリマリンには強い抗酸化作用があり、肝細胞のストレスを軽減しながら、グルタチオンが十分に働ける環境を整えることが確認されています。

実際の研究では、シリマリンを摂取したグループでグルタチオン活性の上昇酸化ストレスの低下、さらに 炎症マーカーの有意な改善が報告されており、肝臓全体のコンディションを保つうえで非常に有用な成分であることが示されています(※2)。
 

5|オルニチン

オルニチンは、アンモニアの解毒・疲労軽減・睡眠の質の向上に役立つアミノ酸です。

アルコールを摂取すると、体内ではアンモニアが増加し、これが倦怠感やだるさの大きな原因となります。
オルニチンは尿素回路の中心的なアミノ酸として、このアンモニアを効率的に処理し、負担を軽減します。

さらに研究では、オルニチンの摂取により アルコール性疲労の軽減が確認されており、翌日のコンディションの維持に有効であることが示されています。
また、オルニチンは睡眠の質を高める効果も報告されており、飲酒後の回復をサポートする成分として非常に優れています(※3)。
 

6|ビタミンB1

ビタミンB1は、大量飲酒時に激しく消耗される代謝ビタミンです。

通常、アルコールはADHやALDHによって分解されますが、飲酒量が多くなるとこれらの酵素だけでは処理が追いつかず、MEOS(ミクロソームエタノール酸化系)と呼ばれる代謝経路が働き始めます。
このMEOSでの代謝を支えるうえで欠かせないのがビタミンB1です。そのため、大量飲酒時にはビタミンB1の消耗が非常に激しく、体内の不足が起こりやすくなります。

ビタミンB1が不足するとアルコール代謝が滞り、二日酔いが重くなるだけでなく、疲労感やだるさ、思考力の低下につながるなど、全身への影響も大きくなります。
 

7|ビタミンC

ビタミンCは アセトアルデヒドの分解促進解毒酵素(シトクロムP450)の働きの維持 に欠かせない重要な栄養素です。

一般的に抗酸化ビタミンとして知られていますが、飲酒時にはそれ以上に、アルコール代謝そのものをサポートする役割 が大きくなります。研究では、ビタミンCを摂取したグループで アルコール代謝がスムーズに進み、身体への悪影響が軽減した ことが報告されています(※4)。

アルコール代謝で発生する活性酸素の処理にも関わるため、飲酒時のコンディション維持にとって非常に重要な栄養素です。

 

まとめ

アルコール代謝には、以下の7つの栄養素が密接に関わっています。

① 亜鉛
② ナイアシン
③ ビタミンB2
④ シリマリン
⑤ オルニチン
⑥ ビタミンB1
⑦ ビタミンC



二日酔いや飲酒後の不調を防ぐには、代謝・抗酸化・解毒の3つの軸を総合的にサポートすることが重要です。
これらの栄養素を適切に補うことで、アルコールによるダメージを最小限に抑え、飲酒後のコンディションを大きく改善することができます。
 

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参考文献

(※1)Mackus M, Loo AJV, Garssen J, Kraneveld AD, Scholey A, Verster JC. The Role of Alcohol Metabolism in the Pathology of Alcohol Hangover. J Clin Med. 2020;9(11):3421. doi: 10.3390/jcm9113421.
(※2)Ebrahimpour Koujan S, Gargari BP, Mobasseri M, Valizadeh H, Asghari-Jafarabadi M.
Effects of Silybum marianum (silymarin) extract supplementation on antioxidant status and hs-CRP.
Phytomedicine. 2015;22(2):290-6. doi: 10.1016/j.phymed.2014.12.010.
(※3)小松. オルニチンによる疲労回復効果の検証. 食品と開発. 40(11):62-4, 2005.
(※4)Susick RL Jr, Zannoni VG. Effect of ascorbic acid on the consequences of acute alcohol consumption in humans.
Clin Pharmacol Ther. 1987;41(5):502-9. doi: 10.1038/clpt.1987.65.

  【監修】 Dr.トレーニング CEO 山口元紀

【活動内容】
世界3大ミスコン公式トレーナー歴任
Dr.ストレッチ 技術監修
海外研修(アメリカやスペインのプロスポーツチーム帯同)

【職歴(インターン含む)】
Boston Red Sox
Tampa Bay Rays
KC Royals

【学歴】
日本大学文理学部体育学科(学士号)
Texas Tech University Health Sciences Center Athletic Training(修士号)

【資格】
NATA-ATC(全米アスレティックトレーナーズ協会認定トレーナー)
NASM-PES(全米スポーツ医学協会認定パフォーマンス向上スペシャリスト)
PRI Myokinematic Restoration
PRI Plelvic Restoration
IASTM(Instrument Assisted Soft Tissue Mobilization)
NKT(Neuro Kinetic Therapy)
SFMA(Selective Functional Movement Assessment)
BTS(Barefoot Training Specialist)
SMBA (Spinal Movement and Breathing Assessment)
保健体育科教員免許

山口元紀ブログ▼
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